アップライトピアノは、音の鳴る箇所が密閉されているという、不思議な構造です。
グランドピアノはあの大きい蓋を開けて演奏するのに、
アップライトピアノにはそれがない。
アップライトピアノも、天屋根(上のまくり)を開けれられるのですが、すこしはグランドピアノみたいに、音が広がり、本来の音色が発揮できるのですが、お気づきでない方が大半ではないでしょうか。
(もっとも私自身、ピアノの上に楽譜を置き散らかしているので、天屋根は開いて弾いてないのですが。)
天屋根を開かなくても、譜面台を前に引き出すだけで、それを可能にしたのが、このタイプ。
それだけではありません。
譜面台、すなわち楽譜を置いた位置がグランドピアノとほぼ同じ高さなのがすばらしい!
ピアノの先生のお宅ではグランドなのに、うちはアップライト。
アクションの構造が違うばかりでなく、じつは楽譜を置く位置がちがうのだから
演奏する姿勢もちがうのです。
視線が変われば、背筋ものび、演奏が変わります。
姿勢が変われば、弾き方だけじゃなく、自分の演奏の聴こえ方も変わります。
小さいことのようですが、じつは非常に大事なことだとおもいます。
さて、前置きはさておき…
まずは外装の磨き上げから。
パネルごとに外し、表面に付着した汚れを落としてから研磨にはいります。
この譜面台と一体型の上前パネルはばらすのがほんと大変!
慣れてないと、組み立てたあと可動部がスムーズに動きません。
上写真右は、サウンドスケープそのものの部分。
ここに埃が溜まります。 お預かりするときでないと中々分解清掃できませんから徹底的にきれいにします。 ブロワーで埃を吹き飛ばし、洗剤を浸した布巾で汚れをおとし、しばらく天日干し。
さて、外装磨きのつづきです。
…といいながら、埃まみれの作業をしつつ写真は撮れないのでちょっと省略。
劣化し、大半が断線してるフレンジコードを張り替えていきます。
整調(タッチ調整)を担う作業なので、ここをないがしろにすると、いくらピアノがよくてもその性能・真価を発揮できません。
調律や整調の前の土台となる大事な作業。
アクションのオーバーホールといってもいいとおもいます。
本来はハンマー交換をするまでがオーバーホールというのでしょうけど。
この作業をしてるとき、たいてい夕方から夜中に及ぶのですが、一番集中できる私にとってゴールデンタイムです。
次回はファイリングと整調をします。