つづきましてアクションの整備。
ファイリングです。
ガンで埃を飛ばし、ちょっと天日干し。
フェルトパーツは虫食いが起こることも。
また湿気で各部可動不良を起こすこともあります。
せっかくの天候なのでしばらく日にあて、そしてハンマーのファイリングです。
音色を決定づける大事な作業。
お次は鍵盤の作業です。
一か所というか一つの鍵盤の先端が欠けていました。
それと外した鍵盤を正面から見たら汚れ具合がよくわかりますね。
この白鍵の表面を研磨して磨いていきます。
鍵盤下のバランスパンチング。
虫食いがありましたのでこれは全部交換。
バランスピンも磨いて鍵盤も磨いてセッティングすると…
こんなかんじです。
鍵盤って、よくみると傾きがでちゃったりしています。
上写真の真ん中の鍵盤。
定規をあてるとちょっと右下がりになっているのがわかります。
この鍵盤の傾きや左右との間隔をそろえ、次に高さをそろえていきます。
いわゆる「ならし」「あがき」の作業。
右から左から視線を合わせ、鍵盤の高さ調整を施し、その次は深さ調整をします。
そんなこんなで、アクション整調をします。
この「整調」という作業に比べると調律は氷山の一角に過ぎない、という感覚です。
だっていくら音律が整っていても、奏でるのは鍵盤です。
たかだか一音押し下げるのに10㎜程度。
しかしそこに音色を紡ぎだすすべてが集約されているわけですから、鍵盤はスイッチではなく「鍵盤」という音で色彩を描く指先の無限の感覚を再現する装置です。
と、ついつい熱くなってしまうのでこれ以上は書きません。
でもそのあたり大事にピアノを演奏してほしいという願いを込めて作業をしております。
整調・調律・整音の順で作業を行いますが、この作業でほぼ一日は費やしているかな。
しかし、毎度ながら写真を撮りながら、とはなかなかいかないのです。
調律と整音(音色を整えます)を施し、
試弾と外装の最終チェックをして完成!
逆光で写真映りが悪くてごめんなさい!
でも納期は明日。
S様、どうぞ楽しみにお待ちくださいませ。
一日早くございますが、この度は誠にありがとうございました。