早速ですが、U1Aの整備に入ります。
まずは背面の写真です。 すでにきれいになっております。
音響板。 20t前後の弦圧に耐え、なおかつ駒で押し続けることでこの音響板が響きます。
アップライトピアノというのは、打弦部分が密閉されていて、いわば一番音を出力する部分を閉じているという不思議な構造です。
なので、この背面の音響板からの音量が一番の頼りなのです。
そもそも壁につけるよう設計されているので仕方ないのですが、背面の音響板こそピアノの性能を決定付ける箇所といっても過言ではありません。
ドライバーを刺してる写真をよくみればわかるのですが、木材の年輪が細かく、しかもまっすぐ均等な幅になっています。 粘りが強く、しかも均一に響くようにスプルース(松科の針葉樹)の柾目を使ってます。
見落としガチですが、駒をとめるネジの締めなおし。
これが意外と緩んでおります。
これを忘れてはならないのです!
内部の写真。
ほとんどサビもなく、珍しいくらい良好です!
とはいえ、うっすらとあるサビや低音源のくすみをとり、掃除機とエアガンで徹底的に内部の掃除をします!
黒いのは鍵盤の横・拍子木といわれる部分です。少し小傷があったので際研磨いたしました。
この拍子木の研磨がちょいとむずかしい! 樹脂製パーツなので研磨熱ですぐに溶けてしまい、一からやりなおし。
傷の深さにもよるけど、たいていは800番から1000、1200、1500、2000と耐水ペーパーをかけていき、仕上げバフグラインダーは極力力を加えずに磨くと。
とにかく丁寧にやらないとへんに波打ったりします。
磨きあげを終え、ここからがピアノという楽器としての本来の作業です。
上記4枚はアクションと、アクションから外したフェルトハンマーです。
今回はフレンジコードの交換より先にファイリングをしました。
これについては多くの師匠から学び、私なりに今の形に落ち着いたやりかたがございます。
写真のように6つずつ、ハンマーを合わせ荒削りしたあと、高番手のペーパーでならします。 が、 研磨というのは必ず中央と端を均等にできません。
つまり、1~6のハンマー 、7~12のハンマーというふうに6個づつ仕上げ、
ためしに4~9の6個をならべてみると… その写真が↑の右下写真です。 わずかに真ん中が盛り上がってます。 これでは正確な打弦ができるハンマーとはいえないので、ここから丁寧に仕上げていきます。