Piano cafe "Scherzando"     ピアノカフェ・スケルツァンド

ピアノ調律スケルツォの喫茶店。 お茶しながら ピアノと音楽の会話でくつろぎませんか。

セミ・オーバーホール  YAMAHA・U1H ③  松戸市K様

続いてアクションの修理。

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・フレンジコード(バットスプリングコード)

・ブライドルテープの交換
・ダンパー、ウィペン、レギュレーティングスクリューレール等各部ネジましじめ。

・バットスプリングとダンパーレバースプリングの調整

 ・ダンパーロッドの研磨

 

あとは経験で得た幾つかの施し。

 

鍵盤下のバランス・フロントピンの研磨と合わせ、

軽く可動させる箇所、そしてバネは強くすることで演奏時のタッチが変わります。

鍵盤はスイッチではないのです。
音色で色彩をも表現する。 
楽器とはそういうもの。

ドレミファソラシド… これも弾き方によって音色も変わるものなので、
色彩豊かなピアノにするには、調律を支えるタッチ調整(調律業界では整調と呼んでます)が大事なのです。

 

 

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この度ピアノクリーニングとともにご注文いただきましたピアノサイレントユニット・KHP-2000 を取り付けております。

 

 

これにて完成! 
って完成した写真を撮り忘れてしまい申し訳ございません。
K様、きれいに仕上がったピアノが届くのを楽しみにお待ちくださいね!

 

セミ・オーバーホール  YAMAHA・U1H ②  松戸市K様

ピアノのクリーニング。
上前パネルや鍵盤蓋、とパーツを外してひとつひとつのパーツを磨き上げる、
という流れが、いつしかばらす前にざっとポリッシャーでひと磨きしてから各部パーツにばらして再度研磨する、というスタイルになりました。

 

埃が飛び散るし、作業に没頭して写真を撮るのも忘れがちになってしまいます。

 

(せっかく作業中に撮った写真なので、クリックして大きい写真でご覧くださいませ)

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上写真右は、ピアノの左側面です。
わりと大きい線傷があったので磨きおとしています。
まずはこんなかんじで大まかに外装をきれいにし、
各パーツをはずして綿密に磨くと同時に内装のクリーニングをおこないます。

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ピアノを倒し、底板を外した図。
サビや埃をおとし、各部ネジを締めなおしております。

セミ・オーバーホール  YAMAHA・U1H ①  松戸市K様

 ピアノ調律という仕事は年明けから春にかけてが忙しい業種です。
学校や幼稚園など、卒業式と入学式を兼ねての調律のラッシュがつづきました。
そんな折、春からお嬢さまのピアノのレッスンに備えてご実家からのピアノの運送とクリーニングを… とご相談をいただいていたのに、すっかりお待たせしてしまいました。

 

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まずは作業のお見積りということで、引取り先の水戸市までお伺いしました。
… 午前10時のお約束が、あまりに早く到着し過ぎたため、

どうしようかな…とおもってたら、なんとちかくに偕楽園があるではないですか!

 訪れてみると、 ほぉっ~、と落ち着く水辺のほとり。
鳥たちがのんきにしてるのを飽きることなく眺めておりました… 

って、ヤバイ!

約束の時間に遅れる!

 (いったいなにしに来てるんだか)

 

 さてさて、春休みに帰省していらっしゃるご実家にお伺いし、ピアノとご対面。

ヤマハのU1H。

このピアノは製造期間も長く、おそらく世界で一番生産台数の多いモデルのはずです。
わたしが作業したのも、このU1Hが一番多いです。

 

 

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さて、そんなこんなで後日にピアノを引き取り、倉庫に入りました。
さぁ、腕が鳴る!
がんばりまっせ~。

 

 

コンサートの準備

f:id:scherzo_piano_tuning:20170402224002j:plain  お世話になっている声楽の古家野知乃先生のコンサートが近づいてまいりました。

 

4/1(土) はその準備。

会場を借りてのリハーサルを行いました。

 

 

誰もいない観客席、

まばゆくライトが照らされるステージに、

歩む出演者の靴がコツコツと会場に響く。

ほのかに漂う緊張感。

わたしはこの感覚が好きでなりません。

これからはじまる… そんな期待感の中で仕事ができるというのも醍醐味です。

 

リハというのか

ゲネというのか、いまだによくわからんけど、

とにかく演奏してるあいだじゅう、いろいろな角度からステージからの歌声、ピアノの音を研ぎ澄ますようにして聴いていました。

 

歌い手と伴奏(ピアノ)の音のコントラスト。

前席、中席、後ろ席、右寄り、左寄り、

 前後左右の位置で相当ちがって聴こえます。

 

(※ 本番は観客によって音が吸われ、相当に音響は変わります。)

 

立ち位置や、ピアノの置き位置を、ほんの何センチか替えるとか、

何曲か演奏するうちにだんだんよくなってくるのです。

すこしずつ完成していく過程。

 

本番が楽しみです。

みなさん、がんばっていいコンサートにしましょうね!

 

 

 

 




 

鍵盤(白鍵)の張り替え  ②

 

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アクリペットを貼り付ける。

この作業が神経を使います。


アクリペットを溶かしたアセトンを接着剤として使ってます。

 

 

 

アクリペットの接着面を溶かし、木材と接着させるのですが、うかつにも鍵盤表面(上面)に自作接着剤をほんの少しでもつけようものなら、まぁ修正はきかず、貼り直しです。

つまりそのパーツはパアというわけ。どれだけこの失敗に苦しめられたことか

(ノд-。)

また、貼り付けたあと、下手な治具のあて方をするとずれて固定されてしまい、とほほ… と嘆きながら再度アイロンをあててやり直すハメになります。

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① 白鍵への蒸気あて

② はがし作業

③ アクリペットの裁断

④ 張りつけ

⑤ 固定

⑥ バリとり作業

 

これらの作業を、アイロンの蒸し具合や接着の度合いを見計らいながら同時進行で進める。

気を許す間もないのですが、余計なことを考えるヒマなく、

気づけば集中せざるをえない状況になるのです。

疲れますが、なかなか楽しいものです。

 

いっぽう、基本中の基本ではありますが、

次の工程をスムーズに行うには下準備である今の手作業をないがしろにしてはなりません。

 失敗して、次の工程で取り返すぞ! といくら意気込んでも無理なのです。

 

どれだけ丁寧に仕上げるか。

なんのことはない、

急がば回れ」なのでしょうか。

それを根底として、適切な工具で丁寧に仕上げる。

 

 いつしか作業に没頭し、写真を撮るもの忘れてしまいます。

なので投稿できなかったのはちょっと残念ですが、

まあ納得のいく仕上がりとなりました。

 余裕をもって、一日と半日のお時間を頂戴してましたが、

なんとか一日で作業を終えることが出来ました。

作業終了後、園長先生からねぎらいのお言葉とお茶をいただきました。

 ほっとするひとときでございました。

 

 

 

鍵盤(白鍵)の張り替え_①

御依頼をいただき、都内某幼稚園にて割れている白鍵の張替の作業にお伺いしました。

 出張でこういう作業をさせていただくというのは、ほんとに腕が鳴ります。

  写真をクリックして大きい画像でごらんくださいませ。

 

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実際にお伺いして見ると、ヒビではなく完全に割れています。

この白鍵を爪でなぞると、あきらかに歪な割れを感じます。

 これじゃぁ弾く保育士の先生方が気の毒です。

 

貼り付けた白鍵アクリペットが、木材の膨張による伸縮に追いつかず割れてしまったのでしょうか。

割れているのは、   ド、  ミ、  ファ、 シ  
と、L型の白鍵が多かったです。
きまって直角部分から亀裂がはいってました。

 

ちなみにピアノの鍵盤は88鍵。   ( 白鍵・52鍵  + 黒鍵・36鍵 )

 

その52の白鍵のうち、当初は28鍵ほど… ときいてましたが
よくみれば32鍵は割れてました。

 

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水で絞った布巾をあて、アイロンで蒸してはがしていきます。

写真は熱でふやけた白鍵です。

 

はがすのはけっこう楽しい作業です。

こっやって一枚ではがせたらラッキー。

丁寧に木材を痛めないよう注意して、

また、はがすときに使う薄刃で木材をささくれだてぬよう気を使って作業します。

 

そしてここからが本領発揮なのです。

 

次回に続く

 

拍手してくれるお坊ちゃん

実家や御親戚からピアノを譲り受け、
お子様にピアノを習わせる、

そんな近い将来に備えての御依頼というのがちょこちょこあります。

 

先日お伺いした先がまさにそうしたお客様でした。

 

お家には、歩き始めたくらいの男の子がおり、

この子が私が調律をしている後ろで遊んでいたのですが、

調律で音を合わせ、それを確認するアルペジオを鳴らすたびに
なぜか「ぱちぱち」と拍手。

はじめはべつに気にもとめませんでしたが、
私の作業の一区切りにきまってタイミングよく拍手がなるのです。

これにはびっくりしました。

高音部など、2オクターブ確認を頻発するのですが、
その度、ちっちゃい手の拍手がうしろから聞こえる。

振り返れば、きょとんとした顔で拍手してる。

 

いやぁ~、これは。

可笑しいし、嬉しいし。


思い出すたびなにやらほっこりします。

流山市 S様 誠にありがとうございました。
あの拍手を励みにがんばります!