セミ・オーバーホール YAMAHA U30A ③ 柏市T様 完成!
引き続き ヤマハ・U30A の作業になります。
ピアノを分解すると、
① 本体 ; 弦 音響板
② 鍵盤 ; 演奏者の操作機構
③ アクション ; フェルトハンマーとその打弦機構
の三つに大別されます。
先回までの作業は①と②、各々の清掃と各部の磨きいれでございました。
で、今回は③のアクション。
まずはこちらの分解整備作業でございます。
じつはピアノ調律スケルツォはこの作業が大変多くございます。
このアクションだけをお預かりして作業することもあるのですが、
・ アップライトピアノのフレンジコード(バットスプリングコード)張替、
・ ブライドルテープ交換、
・ ハンマーファイリング、
・ それに付随するダンパーロッド研磨やバットスプリングコードの調整
・ 各部ネジの締めなおし
・ 他etc。(じつはここに企業秘密がたたございまする)
GWでなんと3件ためてました…
しかも一台はGPのハンマー交換という完全なるアクションオーバーホール。
ううッ (´Д`;)・・・
というか、こういうことはむしろ喜ぶべことでございます。
↓ 秘法のひとつ
なんていうほどのことではありませんが、
ジャックの滑りをよくするため、
また、分解したハンマーバットレザーに無駄なく潤滑粉を塗布することができるため、
こうしたことをどれだけ丁寧にやるか。
それがお使いいただくピアノの寿命にどれだけ関わりのあることなのか。
一回はずして付けたハンマーフェルト。
間隔がばらばらですね。
これを丁寧に弦との間隔を合わせていきます。
「整音」 という作業があります。
これはフェルトハンマーそのものを整形したり針を刺して音色を整える、
文字通りの作業なのですが、
これまた、一個一個の音が正しく発音されるようになっているからこそ成立する作業。
誠に地味ながらも真骨頂とも言えます。
ファイリング、弦合わせ、整調(タッチ調整)、調律(音合わせ)を施しました。
一台仕上げました!
やったー!
じゃなかった、
ご報告事項が二点。
この度ご依頼くださいましたT様のピアノの置お部屋は床暖房があるとのこと。
まことに暖かくてよいのですが、ピアノには非常に過酷なものでもあります。
とにかく空気が乾燥してしまうので、ピアノの含水率が急激に低下し、
木材や痩せ、最悪な場合はピン板や音響板が割れます。
こうなるとピアノとしては致命的です。
というわけでこの度ご提案したのがピアノビッグパネルというもの。
昨今は断熱材入りというありがたいものも開発されましてこちらをご用意させていただきました。
最後にひとつ。
このU30Aに付随されていたサイレントユニットの動作確認をしましたが、
まったく問題なく動作しておりました。
セミ・オーバーホール YAMAHA U30A ② 柏市T様
YAMAHA U30A !
さあ、作業にとりかかります!
…といってもこの作業は実際には4月末あたりより行っております。
ほんと、筆不精というかブログ不精というか、更新が遅くてスミマセン。
などと毎度毎度おなじような言い訳をしつておりますが、気を取り直して
まずはお掃除からでございまする~。
ピアノ背面の音響板。
なかなかの埃です。
もう布みたいになっちゃってました。
← これは防振インシュレータ。
ピアノのキャスターの土台ですが、これもきちゃない!
容赦なく丸洗いして天日干しです。
そのあとに薄くワックス掛けをします。
下記写真は脚と妻土台。
ここにも埃がたまりますね…。
写真をクリックすると大きく表示されます。
柔らかいブラシで埃を落とし、研磨剤を塗布してバフ掛けして磨きます。
この妻土台、ほんと磨きいれのときの要注意箇所なんです。
今回はサイレント機能付きということで神経を使わねばなりません。
バランス・フロントピンの研磨で使うスチールウールの鉄粉が電子機器に付着することで故障の原因となるからです。 というわけでしっかり養生!
← バランスピン磨き。
鍵盤の支点の動作を担う大事な箇所。
いつも一本一本丁寧磨いております!
これをしっかりやると、外した鍵盤がすーっと収まっていきます。
整調と呼ばれるタッチ調整というもの。
こういう地味な作業の上にありますので、前工程をないがしろにしていると、どうやっても次の工程で取り返すことなどできないのであります!
なーんてひとりで作業をしてると、没頭してついつい写真を撮り忘れてしまいます。
地味な作業シリーズ その② 「鍵盤の研磨」
これだけは写真にしっかり撮り収めておこうとおもいつつ…
忘れてしまった (ノд-。)
しかし T様。
ここもしっかり仕上げてますのでお届けするピアノを楽しみにしていてくださいね!
次回 感動のラスト
乞うご期待!
セミ・オーバーホール YAMAHA U30A ① 柏市T様
この度承りました久々のピアノクリーニング(セミ・オーバーホール)につきましてアップロードいたします。
通常の流れですと、
・お見積りのご依頼
→ ・お客様の立会いのもとでピアノのコンディションをご説明
→ ・お見積額の提示
という流れで、搬出・作業・搬入までの日程を打ち合わせするのですが、
今回はちょっとだけいつもとちがいました。
ピアノをお家に移動させるのはちがいないから、
いったんピアノ運送の倉庫に入れて、そこでピアノのコンディションを確認し、
その状況次第で作業内容をお決めいただく、という段取りにさせていただきました。
直す側としても、口答で説明するだけでなく、
せめて写真でもご確認をいただいてご納得していただけた上で作業を承りたいのです。
というわけで
写真に収めてお客様宅へお伺いして状況のご説明をさせていただいたのですが、
下記の写真は倉庫兼作業場所でのものです。
ヤマハ・U30A Technics製のサイレント機能付き
申し分ないピアノです。
パネル類を外し、中を拝見しました。
カビや、深い錆があるわけでもなく、
フェルト類に巣食う害虫の痕跡もなく、
ピアノ自体のコンディションも申し分なしです。
ただし経年劣化ゆえ、今後末永くお使いいただくにあたっては、
うっすらと見受けられる錆や汚れ、
アクションの可動部の調整をご提案させていただきましてご依頼をいただきました。
「できれば早くしてほしいです」
えっ…
か、かしこまりました…
それはそうですよね!
がんばって最良の状態に仕上げます!
極力急いで。
次回に続く
セミ・オーバーホール EASTEIN ② 船橋市U様
さてさて前回の続き、
EASTEIN の作業開始です!
調律師たるもの、そのピアノのコンディションを推し量るにあたり、
素の状態で指弾し、どのような常態か想像し、
そこからピアノの各パネルやアクション、鍵盤を外して細部の状態を確認するべし!
まずはこのピアノで気になったところ。
それは鍵盤のコンディションです。
率直なところ、見ただけで 「あちゃー」なのでございました。
それはなにかというと……
まずはパッとみて鍵盤の間隔がばらばらですね…
(写真をクリックすると拡大されます)
白鍵の ”ソ” と ”ラ”、
触るとわかりますが、”ソ” は左右の鍵盤にぶつかるくらいぐらついてます。
小学校や幼稚園・保育園など、
黒鍵や、高音域・低音域があまり使われていない、
わかりやすいハ長調主体の曲(白鍵だけで演奏できる曲)を、不特定多数の人が使うピアノにこれは多いです。
上二枚の写真は
「鍵盤ならし」 = 鍵盤の水平で均等な高さ調整。
をみています。
右写真では ”ド” の鍵盤がすこし沈んでいるのがわかります。
また、鍵盤上面の割れが目立ちますね。
・鍵盤上面の割れ
・ならし(鍵盤の高さのばらつき)
・あがき(鍵盤の押したときの深さ)
・あそび(鍵盤の左右の間隔と振れ幅)
・鍵盤スティック(押したら戻らない鍵盤)
これらすべての調整が必要な、たいへんやりがいがある状態です!
しかし、なにもこのピアノだけが特別に鍵盤調整がくるっているわけではありません。
この調整は本当に大事だとおもいます。
なぜかというと鍵盤とはスイッチではありません。
「鍵盤」なのです!!!
話すと熱くなり、長くなりますので、その話は次回以降にします
(書くかどうかわかりません)
セミ・オーバーホール EASTEIN ① 船橋市U様
気づけば夏真っ盛りになりました。
毎度のことながらブログのアップが遅くてすみません…
(この作業は7/3より開始しております)
この度承りましたのは、イースタインというメーカーのピアノです。
御依頼主のU様、
お子様の上達に合わせ、そろそろ電子ピアノからほんとうのピアノで習わせたいということで、ご実家にあったピアノを再生したいというご要望でお預かりしました。
お見積りにお伺いした折、
ご主人様が幼少期にも使っていたということで、
大変思い入れがあるようにお見受けしました。
また、ご実家の御両親様もご購入された当時を大変懐かしんでおられました。
こういうお話を承ると、
その大事にされるお心に応えられるよう頑張らねば!
という気持ちになります。
ちょっと時間がかかりますが、丁寧に仕上げます。
マホガニー調が特徴のイースタイン、
かつて私が修行時代にいた工房で、よくオーバーホールをしていたことを思い出します。
よくみかけるのですが、
昔のピアノ運送屋さんはよくピアノの背面にチョークでなにやら書き込むのですね。
などとぼんやりおもいつつ、作業に入ります。
では次回!
セミ・オーバーホール YAMAHA・U1H ③ 松戸市K様
続いてアクションの修理。
・フレンジコード(バットスプリングコード)
・ブライドルテープの交換
・ダンパー、ウィペン、レギュレーティングスクリューレール等各部ネジましじめ。
・バットスプリングとダンパーレバースプリングの調整
・ダンパーロッドの研磨
あとは経験で得た幾つかの施し。
鍵盤下のバランス・フロントピンの研磨と合わせ、
軽く可動させる箇所、そしてバネは強くすることで演奏時のタッチが変わります。
鍵盤はスイッチではないのです。
音色で色彩をも表現する。
楽器とはそういうもの。
ドレミファソラシド… これも弾き方によって音色も変わるものなので、
色彩豊かなピアノにするには、調律を支えるタッチ調整(調律業界では整調と呼んでます)が大事なのです。
この度ピアノクリーニングとともにご注文いただきましたピアノサイレントユニット・KHP-2000 を取り付けております。
これにて完成!
って完成した写真を撮り忘れてしまい申し訳ございません。
K様、きれいに仕上がったピアノが届くのを楽しみにお待ちくださいね!
セミ・オーバーホール YAMAHA・U1H ② 松戸市K様
ピアノのクリーニング。
上前パネルや鍵盤蓋、とパーツを外してひとつひとつのパーツを磨き上げる、
という流れが、いつしかばらす前にざっとポリッシャーでひと磨きしてから各部パーツにばらして再度研磨する、というスタイルになりました。
埃が飛び散るし、作業に没頭して写真を撮るのも忘れがちになってしまいます。
(せっかく作業中に撮った写真なので、クリックして大きい写真でご覧くださいませ)
上写真右は、ピアノの左側面です。
わりと大きい線傷があったので磨きおとしています。
まずはこんなかんじで大まかに外装をきれいにし、
各パーツをはずして綿密に磨くと同時に内装のクリーニングをおこないます。
ピアノを倒し、底板を外した図。
サビや埃をおとし、各部ネジを締めなおしております。