Piano cafe "Scherzando"     ピアノカフェ・スケルツァンド

ピアノ調律スケルツォの喫茶店。 お茶しながら ピアノと音楽の会話でくつろぎませんか。

夏もおわり

おはようございます。

お盆が過ぎて、急に暑さもやわらぎ、今朝あたりはもう夏が終わったかんじがします。

 

ピアノ修理にたずさわって、気付けば塗装もするようになりました。

これが天候、つまり温度・湿度の影響を受けるもので、作業する日を選びます。

象牙鍵盤の漂白作業もそう。
また、天日干しするわけではないけど、湿度の影響をうけたスティックだらけのアクションも、天気のいい日に陰干しすると拍子抜けするほどあっさりと調子を取り戻すことがあります。

 

さすがに今夏の猛暑にはまいりましたが、晴天の恩恵がなければ作業ができないということ。

 

ピアノは電子ピアノのように電気がなければ用無しではないけれど、

陽気なお日様なくして直せないんだなぁ、なんて馬鹿バカしいことをおもったりしました。

 

といっても今日はそういう作業をするわけでもないのですが。

しとしと雨そぼ降る、穏やかに作業する工房での一日となりそうです。

 

とりあえず工具鞄の整理でもしますか。

 

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セミ・オーバーホール  KAWAI・KS2F ② 完成

 

すっかり更新が遅くなってしまいました…(といっても毎度のことですが)

カワイのKS2F、 セミ・オーバーホールに加えて、KORGのサイレントユニットの取付作業です。

 

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ピアノを横に倒し、弦やピンを磨きなおし、外装の磨き上げ(ポリッシャーがけ)。
やはり横に倒さないと、細かいところまで綺麗にみがけません。

 

さて、一通り磨きあげのあとにピアノの整調・調律を施し、サイレントユニットの取付です。

 

鍵盤表面のアクリペット&側面の木部を研いできれいに仕上げたあと、裏側にサイレントのセンサー感知のフィルムを貼り付けます。

 

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演奏したときのタッチを正確に感知させるための精度が狂っていてはサイレンとも機能しません。 

KORGのサイレント・ユニットは鍵盤と非接触型なので、タッチに違和感がなく、ほんとうによくできています。

 

 

 

カワイの場合、鍵盤の下・棚板にある筬を加工してセンサーを取り付けします。

通常、外すことのない箇所。逆さにしないとジグゾーでは切断することができません。

 

 注意しないと、ジグゾーの振動でパンチングがはずれ、鍵盤ならし・あがきの作業をやり直すという トホホ… ということに。

 

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サイレントも組み入れ、完成の図。
夜中も練習したい人、ジャズやブルースといったリズムを重視した演奏をされる方に、このサイレント機能は強くオススメです。

いくら強く弾いても、電子機器との接触部分がないため、機械を傷める心配が全くないし、なによりピアノのタッチで演奏ができます。

安価な電子ピアノを買うくらいなら、サイレント機能にしたほうがいいです。

 

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高音側の腕木に大きな傷があったのでリペアしました。
これもきれいに仕上がってます。

 

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セミ・オーバーホール  KAWAI・KS2F ① 

猛暑日がつづきます。

体温よりも高い気温。

みなさま体調管理にご注意ください。

 

 

ただいま、カワイのKS2Fというアップライトのセミ・オーバーホール中でございます。

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汗をかきかき、がんばっております!

 

ゴスペル・ピアノにあこがれて

最近、ゴスペルピアノのワークショップというのに通っています。

月二回、計六回の、ちょとしたピアノ・セミナーといったところでしょうか。

これがとにかく楽しいです。

 

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ピアノという単体楽器。

 

一般的にはクラシック中心で、独奏の曲を学びます。
完成された曲を、譜面どおりに弾くことが目的というのなら、

 ジャズ、ブルース、ゴズペルなどのブラックミュージックの場合、間逆といえるほどのスキルが要求されます。

 


例えば、バンドの一つのパートとして、

また、クワイヤー(合唱団)の伴奏であったり、
むしろ独奏のほうが少ないということ。

その演奏形態によって、あつかう鍵盤の領域がかわります。

 

次にコード理論。

譜面など基本的にないのです。

あるのはその曲のコード進行のみ。
この唯一の制約の中で、いかにコードを駆使して弾くか、というトレーニング。
否が応でも自分の言葉で語らざるを得ない、といったところでしょうか。

 

そして私たち日本人が一番苦手とするリズム。

 

いくら知識があっても弾けなければ意味がないわけでして、とにかく弾きこむことでその感覚を掴むしかありません。


縦横無尽に鍵盤を操るジャズピアノには憧れますが、道のりは遠い、遠過ぎます。
でも休日のひととき、楽しく通っております。

 

セミ・オーバーホール  ヤマハ・U3H ④  世田谷区S様  完成とお届け

梅雨まっさかりの昨今です。

 今日の都内は降ったりやんだりの天気でしたが、

U3Hのセミ・オーバーホールが終わりましたので、いよいよ納品日でございます。

 

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肝心な調律や整調は、いっつも写真をとり損ねてしまいます。
もっとも両手つかってもっとも細かい作業してるのに撮影はなかなか無理がございまして…。

 

 

 

 

さて、

せっかく仕上げたピアノも運送・搬入で調律・調整が狂ってしまいます。

 

 お家に収まったところで最後の確認と調整しております。
それでピアノ調律スケルツォのセミ・オーバーホールは完了!

 

ピアノが届いたときの、お客様からお喜びいただけるのが、なによりのひと時です。

 

ちょうどお家にピアノが納まったころ、

幼稚園から戻ってきたお姉ちゃんが、クツを脱ぎながら「ピアノ届いた~?」の第一声。

楽しみに待っててくれたんだね!

 

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元気なタッチで楽しそうに弾いてくれました。

最後は自分で作曲した曲もご披露してくれました!

これが名曲!

 今度のピアノの発表会、がんばってね!

 

S様、この度は誠にありがとうございました。

 

セミ・オーバーホール  ヤマハ・U3H ③  世田谷区S様

おはようございます。

6/29・(月)の朝でございます。

さて、さっそくですが、U3Hの作業のつづきです。

先週までのところで、アクションと外装全般のクリーニングを仕上げました。

 

まずはアクションのコンディションからです。

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 フレンジコードという、フェルトハンマーを戻す役割を担う糸がほぼ全滅でございます。 そして、その糸に引っ掛けるハンマーバットスプリングが二次被害で折れ曲がってます(↓写真㊧)。

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フレンジコードの張替え工程です。

この作業、ただフレンジコードを張りかえるだけじゃなくて、その他アクション全般の手入れができます。

ただ壊れた・劣化したパーツを交換する、というのではなく、手入れを施すことでタッチがかわり、音色も豊かに変わります。

 

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ピアノの右ペダル(サスティン・ペダル)をになうロッドです。
㊧・研磨前   ㊨・研磨後  の写真です。

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たいした作業じゃないのですが、細かい作業の積み重ねでいいピアノに仕上がりますので、こういうところを大事にしたいとおもいます。

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セミ・オーバーホール  ヤマハ・U3H ②  世田谷区S様

先回の続きでU3Hのセミ・オーバーホールです。

まずは鍵盤。

 

鍵盤の研磨機にかけたら落ちるかと思いきや…

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 汚れかとおもいきや、おそらく鍵盤の上面を除光液か強いアルコールで拭いたのでしょうか、よーくみると溶けて相当に凹凸がついていました。これがなかなか難儀でございまして…

写真をクリックしていただくとわかりますが、ゆず肌みたいになってます。

バフグラインダー(研磨機)にかけても、深い凹みがなかなとれません。 これを深追いすると、上面が波打ってしまうのです。

 

こうなったら!  ということで鍵盤の上面を耐水ペーパーで削ることにしました。

粗めの320番から 400番→600番→800番 です。

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鍵盤を張りかえることもできるのですけど、できるかぎり直せるものは直してみます。

 

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 バフ・グラインダーはとにかく研磨粉の埃がすごいので、とても屋内では作業できません。 なのでいっつも表でやってます。 

この時期、天候との勝負でもあります。

 

 しっかし 暑い~!

 

 

 

 

磨いては確認し、波打ってたらペーパーがけ。 これを何回か繰り返しています。 

なかなか一発でうまくいかないんだな!  これが!

 

おっと…  
それと鍵盤のガタツキが少々気になったのを忘れてました。

私はピアノを弾いて、この鍵盤ガタツキがあると、すごく気持ちがワルイ。

なので、ブッシンクロスというパーツに柔軟剤を刺しました。

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注射器を使って、なんだかあやしい薬…みたいですね。

交換するほどではないけど、ヘタリが気になるブッシングクロスは、この柔軟剤をいれてフェルトを膨らまして調整します。

 

 

 

さて、鍵盤(白鍵)上面の仕上がりはというと…

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鍵盤の小口も張り替え、側面もペーパーをあててます

あとはピアノに収めて、気になるところを修正したいとおもいます。

 

つぎはアクションの整備でございます。