Piano cafe "Scherzando"     ピアノカフェ・スケルツァンド

ピアノ調律スケルツォの喫茶店。 お茶しながら ピアノと音楽の会話でくつろぎませんか。

ピアノ移動のあいまに一日再生調律 ②  カワイ・KU1  葛飾区H様

ピアノ調律スケルツォでは、永らくお使いでなかったピアノを一日かけて、とことん修理に調整に費やす! ということをひとつのパッケージとして行っております。

 

名づけて「一日再生調律」! ってそのままなんですが。

 

さて、このたびお任せいただいた Kawai ・KU1 、

せっかくお預かりいたしましたので、一日再生調律(+α)の作業を施します。

 

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 ピンヅル、いわゆるチューニングピンのゆるみ故、調律が安定しない症状。

 

前回の写真で、丸い紙(フロント・パンチングペーパー)でマーキングしてあった箇所がそれ。

 

以前にこのピアノの調律をした調律師さんが丁寧に印しておいたんですね。

 

ピンとピン板の間に『謎の薬品』?を流し込み、木材を膨張させピンヅルを直す。

当然ながら、液体は横には浸みていかないのでピアノを横に寝かせました。

何を流しこんだかは秘密!

これ、ほんとうにピンヅル修理にもってこいの秘法です!

 (同業者さん、ピン・タイトナーじゃないです~!)

 

これで一晩寝かせます。

 

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ピアノを縦に横に、埃をエアガンと刷毛と掃除機で徹底的に落とします。

 

これが以外に大変です。

 

ときに新品製作当時の木片が出てくることもしばしば。

 

 

 

外装を軽く磨き上げ。

 

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 ちなみにこのピアノは海外製のサイレントユニットが取り付けてありました。

 

壊れていたらしく、作業前のチェックでたしかに幾つかならない音がありました、が……!

 

 

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一通り清掃を終え、整調と調律でございます。

ハンマーのパンクもきれいに直りました!

 

それと、ピアノサイレントですが清掃と再調整でなんと復活!

やったぜ!

 

ヘッドフォンはさすがに中古というわけにいかないので、ご用意くださいね!

 

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連休前に間に合わすつもりでしたが、お待たせしてすみません。
出荷前に、お届け時に納品調律いたしますので何卒ご了承ください。

 

お喜びいただければいいのだけれど。

 


 

ピアノ移動のあいまに一日再生調律 ①  カワイ・KU1  葛飾区H様

このたびご依頼いただきましたお客様。

 

お知り合い宅より、ご自宅へピアノを移動されることとなり、

せっかくなので家にピアノが届いた後に調律を… 

もともとそういうご依頼でございました。

 

いつお伺いいたしましょうか? と調律をお伺いする日取りをお話ししているうち、

「やはり家に入れる前に整備していただこうかな…そんなことやってもらえますか?」

と仰いました。

 

なにをおっしゃいますか! 

それこそ得意中の得意です!

…なんてことで、話が一気に進みました。

 

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・お知り合い宅 → ご自宅

・お知り合い宅 → 作業場 → ご自宅

 

作業場を経由してもピアノ運送料は変わらないし、

 

直接ピアノをもって行くより、作業場で埃を徹底的に落としたらいかがですか?

 とご提案させていただき、電話だけでご説明するのも難しい、なにより私自身、まだ見ぬピアノのコンディションなどわかろうはずもない。

 

 

 

なのでまずは作業場にピアノが入ったらお越しい願いたい旨をお伝しました。

 

ピアノが作業場に届き、パネルを外すと…

 

なぜかチューニングピンにフロンとパンチングが刺さっている。

(写真㊧)

なによりフェルトハンマーのパンクがある! 

(写真㊨)

 

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 わざわざ遠くよりお越しいただき、現状のコンディションをご確認いただき、作業の方向性をご相談させていただきました。

 

よっしゃ! 

あとは張り切って直すのみ!

 

続く

 

仕事とは関係ないけれど…

珍しく、晩酌がてらワインを開けよう! ということになりました。

 

ボトル先端を封する鉛のような包み(あれ、なんていうんだろう?)をとり、

コルク栓を抜く。

 

ちょっとした力仕事です。

調律業という力点を巧みに操る能力を活かし、

無駄のない動きで軽やかにワインの栓を抜き、華麗に乾杯!

 

といくはずが… …Σ(´Д`;)  

 

螺旋をコルクに刺すまではよかったのですが、

いざ抜こうと引っ張ると、握る手の中で…「パキャッ」!

なんとT字型のコルク抜きの取っ手が割れてしまいました!

 

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 わかりづらい写真で恐縮です。

 

よく見ていただくとわかりますが、コルクにらせん状の針金が刺さっただけの状態になってしまったのです。

 

 

 

 

しばし呆然とした後、 工具鞄からペンチを取り出し、必死になってコルクを抜いた次第です。

 

とほほ……

 

リニューアルピアノ販売  YAMAHA・U1A ③  船橋市K様  (& サイレント取付)  完成

先週の台風の吹き荒む中、工房にこもって作業しておりました!

納品日のお約束に合わせ、U1A、サイレントキットの取付と整調・調律の作業を仕上げての完成となります。

 

鍵盤下にとりつけるセンサー。

黒鍵を弾いたときの下面との距離をシビアに調整します。

棚板板の裏に音源Boxを取り付けします!

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整調(タッチ調整作業)。
氷山の一角という言葉があるけど、実は水面下の大きい氷塊あっての氷山。
整調こそまさにそれだとおもいます。

整調を丁寧に仕上げると、ほんとに音色がよくなります。

これぞピアノの真骨頂です!

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こうした作業を経て、無事お届けを完了いたしました。

(ついつい作業後の写真をとり忘れてしまう!)


自分の施した作業で、お喜びいただけるというのは本当にうれしいです。

 

お届けした日は運動会の翌日でお休みだったお嬢さん。

ベートーベンソナタ・月光の第三楽章、頑張ってね!

 

 
この度は誠にありがとうございました!

 

台風がくると…

先週の台風の影響で、作業場近くの河川も水位があがり、野球場もなにも川の底となっていました。

左はたまたま撮っていた8月末の写真。

そして右が9月11日の写真です。

 

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堤防のおかげて河川の氾濫の心配はまるでありませんでしたが、河川敷はこのありさまです。

 

空も低い。 

 

このたびの台風ばかりではなく、毎年秋に近づくころによく見る風景です。

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リニューアルピアノ販売  YAMAHA・U1A ②  船橋市K様  (& サイレント取付)

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早速ですが、U1Aの整備に入ります。

まずは背面の写真です。 すでにきれいになっております。

音響板。 20t前後の弦圧に耐え、なおかつ駒で押し続けることでこの音響板が響きます。 

アップライトピアノというのは、打弦部分が密閉されていて、いわば一番音を出力する部分を閉じているという不思議な構造です。

なので、この背面の音響板からの音量が一番の頼りなのです。

そもそも壁につけるよう設計されているので仕方ないのですが、背面の音響板こそピアノの性能を決定付ける箇所といっても過言ではありません。

ドライバーを刺してる写真をよくみればわかるのですが、木材の年輪が細かく、しかもまっすぐ均等な幅になっています。 粘りが強く、しかも均一に響くようにスプルース(松科の針葉樹)の柾目を使ってます。 

 

見落としガチですが、駒をとめるネジの締めなおし。 

これが意外と緩んでおります。

これを忘れてはならないのです!

 

 

内部の写真。

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ほとんどサビもなく、珍しいくらい良好です!

とはいえ、うっすらとあるサビや低音源のくすみをとり、掃除機とエアガンで徹底的に内部の掃除をします! 


黒いのは鍵盤の横・拍子木といわれる部分です。少し小傷があったので際研磨いたしました。

この拍子木の研磨がちょいとむずかしい! 樹脂製パーツなので研磨熱ですぐに溶けてしまい、一からやりなおし。

傷の深さにもよるけど、たいていは800番から1000、1200、1500、2000と耐水ペーパーをかけていき、仕上げバフグラインダーは極力力を加えずに磨くと。
とにかく丁寧にやらないとへんに波打ったりします。

 

 

 

磨きあげを終え、ここからがピアノという楽器としての本来の作業です。

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上記4枚はアクションと、アクションから外したフェルトハンマーです。

今回はフレンジコードの交換より先にファイリングをしました。

これについては多くの師匠から学び、私なりに今の形に落ち着いたやりかたがございます。 

写真のように6つずつ、ハンマーを合わせ荒削りしたあと、高番手のペーパーでならします。 が、 研磨というのは必ず中央と端を均等にできません。

つまり、1~6のハンマー 、7~12のハンマーというふうに6個づつ仕上げ、
ためしに4~9の6個をならべてみると…  その写真が↑の右下写真です。 わずかに真ん中が盛り上がってます。 これでは正確な打弦ができるハンマーとはいえないので、ここから丁寧に仕上げていきます。

 

 

 

リニューアルピアノ販売  YAMAHA・U1A ①  船橋市K様  (& サイレント取付)

9月に入り、天候不良がつづきます。

真夏の猛暑はどこへやらです。

 

私は雨の日が嫌いではないのですが、先週は小雨が降ったり湿度が高くて塗装作業がうまくいかず、少々まいっておりました。

 

そんなことはさておき、入荷したヤマハ・U1Aの作業です。
音楽教室からの紹介で、ご縁があってリニューアル・ピアノをご購入いただきました。

 中学生のお嬢さんが、一生懸命ベートーベンのソナタを練習しているうち、お家のピアノが故障続きになってしまったので、お買い替えされる運びとなりました。

 

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U1A。

ベストセラーU1Hの後継モデルです。
タッチの感触がいいのは従来どおりで、 語りだせばきりがないけれど、
カンカン鳴り過ぎることのない、けど芯のある音が鳴ります。

弾いていて、ついつい夢中になって弾き続けてしまう… 

 

かつて作業場においていた同じU1A。

ひとしきり仕事を終えてピアノの練習をしていたら、気付けば深夜0時を過ぎていた…

U1Aというとそんなことを思い出します。

 

また、音色とは関係ないけれど、木材も塗装も堅牢で楽器としての寿命が永い素敵なピアノです。 

 

なまじ安すぎる新品よりも、こういう状態の良好なリニューアル品を買うことをお勧めしております。

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…よくやることなのですがカメラを忘れてしまい、ずべてスマホからの写真です…
写りが悪くてすみません!

 

しかし、ハンマーの弦溝が非常に少なく、弦サビもなく、内部の状態はすこぶる良好!

さすがに調律・整調は狂ってましたが、内部の磨きあげおよびアクション・鍵盤の整備をすれば整調・整音・調律ともに一からすべて調整のしなおし。

状態が良いほどシビアに結果が出る気がします。

 

さて、明日から本格的な作業にはいります!
お届け日まで楽しみにおまちくださいね!