Piano cafe "Scherzando"     ピアノカフェ・スケルツァンド

ピアノ調律スケルツォの喫茶店。 お茶しながら ピアノと音楽の会話でくつろぎませんか。

セミ・オーバーホール  ヤマハ・U3H ④  東大和市T様

f:id:scherzo_piano_tuning:20151008090543j:plainすっかり秋めいてきました。

 

猛暑の夏から、天候不良が続き、残暑をかんじる間もなかった気がします。

 

作業のあいま、ふと表にでると、木の枝にトンボも休憩しておりましたので写真に撮りました。

 

 

 

さてさて、お預かりしたU3H。

 

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 一通り、整調・調律を終え、気になるところを整音をいたしました。とりあえず終了!

 

あとはお届け前・出荷前にもう一度細かくチェックをいたします。

 

 それと……

 

 

 

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ピアノと一緒にお預かりしたイス。 

背もたれがあり、座面の上下が片手で容易にできるこの「トムソン椅子」。年季がはいってます!

 

お客様はお買い替えをご検討されましたが、

どうせ処分するのなら、どこまで直るか試してからにしよっかなぁ…、

などと思ってたら体が先に動いてました~。   塗装と修理です。

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 スプレーガンで塗料を噴く。

ガンというのは円状ではなく、線状に噴射します。

なので、

ー に噴霧するなら 上下方向に

| に噴霧するなら 左右方向に 

均等に噴いていくことで面状にきれいに塗装されていきます。

 

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が、間違って、ー方向を⇔に噴いてしまうと、液ダレするほど部分的にたっぷり噴き付けてしまいます。

 

それがこの状態。

あちゃー ( ノД`)… 

イスの脚みたいに縦横のものを噴くとよくやる失敗です。

 

 

みっともない液ダレ。

下手にふき取ろうとすればすべてが台無し。

これが塗装の難しいところですが、これをどう直すかというと…

 

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何日か寝かせ、塗装が完全に乾いた後、

 マスキングテープを貼り、その上からあて木で出っ張った塗装の凹凸を削ります。

 

そのあとコンパウンドで磨くという寸法でございまする~。

 

 

 

 

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イスもピアノの大事な一部。

今回はイスの塗装もしてみました。

 

これにて一旦終了。 

お届けの日までどうぞ楽しみにお待ち下さいませ。

 

 

セミ・オーバーホール  ヤマハ・U3H ③  東大和市T様  

先回からの続きです。

 

ごらんくださいませ。

このマフラーフェルト。

 

弦を打つハンマーフェルトの間に暖簾のようになっているのが、

アップライトピアノの真ん中の弱音ペダル。

 

踏んでロックしたら、弦とハンマーの間にこれが下がり、弱音させる構造です。

 

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 虫喰いではありません。

よく写真を見ていただくとわかるのですが、敗れているところ、四角く破れるのです。

 

夜にこの弱音ペダルを使って練習に励まれると、このフェルトがボロボロになります。

その割にハンマー自体の弦溝はそれほど深くない。

夜にしか弾けない中、一生懸命練習なさっていたのでしょうね。

 

以前に調律をお任せいただいたのですが、

その際、『次高音あたり一箇所、弱音が利かない』とおっしゃってました。

 

工具鞄に入れてるイスの足に張るフェルト、

といってもキーカバーを切って両面テープを貼っただけのものですが、これがけっこう重宝ものなんです。

 

本来とは違う使い方ではありますが、当時はこれで対処いたしました。

…しっかし (´Д`;)・・・

…すっかり忘れていました。 確かに弱音はしますけど、あらためてこうして写真で撮るとなにやら恥ずかしい…

 

速攻で交換!

 

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 この作業をするときってなぜだか心落ち着きます。

 

きまって夜だし、一通りのクリーニング・修理の終了でもあるからです!

 

 

 

 

 

 

 

順序が逆ですが、日中は、アクションの整備+サイレント機能の取付でございました!

 

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セミ・オーバーホール  ヤマハ・U3H ②  東大和市T様  

錆落し・埃落し&外装磨き。

 

まず、ピアノをばらす前にざっと外装の磨き上げをします。

ざっとといってもそれなりに仕上げるつもりでやるのですが、

 

ピアノを横にすると、おどろくほど磨き残しがわかります。

なので、弦磨きの際に妻土台のあたりも再度バフがけします!

 

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 ↓ 外した上前パネル

 

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こうしてみるときれいに見えますが…

 

 

 

 

 

 

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 写真だとわかりづらいのですが、ちょいちょいと小傷が目立ちます。

中目 → 細目 → 縦バフに面バフ…

 

そうやって研磨していくと…

 

 

 

 

仕上がりは…

 

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きれいなピアノブラックの復活です。

写っているのは強盗ではなく、作業者(私)でございまーす。

 ボディや他のパーツもそうやって磨き上げていくのでございます!

 

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さて、一通り磨き終えて次のステップ。

鍵盤とアクションです。

 

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  ↑ 左は鍵盤小口を剝がした図。

右の写真、クリックして拡大するとわかりますが、鍵盤表面がゆず肌になるほどツメの傷跡があります。

こういうのをみると、よく練習なさったんだなぁ、などと想像します。

 

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鍵盤の傷がけっこう深かいです。

これをバフグラインダーだけで磨きぬこうとすると波うったりしてしまいます。

 

なので下地づくり。

耐水ペーパーで一個ずつ研ぐことにしました。 

 

 

 

 そんなこんなで本日はここまで。

中途半端で作業を終えてしまったけど、張り替えた小口の削りおとしと上面研磨・側面の汚れ落しはまた次回。

焦るとロクなことがありません。

 

次回につづきます。

 

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セミ・オーバーホール  ヤマハ・U3H ①  東大和市T様  

秋の晴天の日です。

猛暑から9月にはいって悪天候つづき。

残暑日がなかったけど、天候に恵まれた連休ですね。

 

そんな中、ピアノ調律スケルツォはがんばっております!

 

このたびお預かりしたピアノ(YAMAHA・U3H)、

調律でお世話になっているお客様からのご依頼です。

ご熱心にピアノの練習をされるため、なかなかピアノを預けるタイミングがなかったのですが、この秋口に時間をつくってくださり、ピアノのセミ・オーバーホールをお任せくださいました。

 

お任せくださり、本当にうれしいかぎりです。

 

私事ですが、社会人となり一人暮らしをはじめたとき、どうにもピアノが欲しくなり中古のU3Hを買いました。 当時は高かったサイレント機能を組みこみ、夜な夜な練習していたものです。

 

そんな懐かしさもあいまって、気合がはいります!

 

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深い傷こそないものの、よくお弾きになるだけあって消耗している箇所が多く見受けられます。けれど作業台数を多くこなしているピアノでもあります。。

 

自信とやりがいがあります。

 

1970年代のものなのに、未だ消耗箇所さえ修復すればなんの遜色もなくきれいに響くというのはすばらしいことですね。

 

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背面の音響板の清掃。

ハンディクリーナーがすぐにまんぱんになるほど埃が詰まってます。

たいていのピアノはこうです。

 

調律の修行時代に思い知ったこと。

それは立つ位置によって音の響きがちがうということでした。

 

自分が調律しているとき聴こえない倍音の響きが、人が調律しているピアノの背面側からだとほんとよく聴こえるのです。

いつしかそれが背面にたたなくても少しは聴こえるようになり、

また、調律の出来栄えも自身で演奏をしたときに、その良し悪しがわかるようになりました。

 

なので、まことにおこがましいようですが、ピアノを弾くにあたって、

こうした響きを巧みに曲にのせることが「上手い演奏」だと思うのです。

難易度が高い曲を弾きこなせることだけが「上手」ではないはずです。

 

なんて、話が脱線してしまいました~。

 

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全体的にくすむ外装。

バフがけで表面を研磨します。

 

これがどう仕上がっていくのか。  T様、楽しみにお待ちくださいね!

 

※ ブログのアップが遅くて本当にすみません。

この作業自体は中旬より取り組んでおりますので何卒ご了承ください。

 

ピアノ移動のあいまに一日再生調律 ②  カワイ・KU1  葛飾区H様

ピアノ調律スケルツォでは、永らくお使いでなかったピアノを一日かけて、とことん修理に調整に費やす! ということをひとつのパッケージとして行っております。

 

名づけて「一日再生調律」! ってそのままなんですが。

 

さて、このたびお任せいただいた Kawai ・KU1 、

せっかくお預かりいたしましたので、一日再生調律(+α)の作業を施します。

 

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 ピンヅル、いわゆるチューニングピンのゆるみ故、調律が安定しない症状。

 

前回の写真で、丸い紙(フロント・パンチングペーパー)でマーキングしてあった箇所がそれ。

 

以前にこのピアノの調律をした調律師さんが丁寧に印しておいたんですね。

 

ピンとピン板の間に『謎の薬品』?を流し込み、木材を膨張させピンヅルを直す。

当然ながら、液体は横には浸みていかないのでピアノを横に寝かせました。

何を流しこんだかは秘密!

これ、ほんとうにピンヅル修理にもってこいの秘法です!

 (同業者さん、ピン・タイトナーじゃないです~!)

 

これで一晩寝かせます。

 

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ピアノを縦に横に、埃をエアガンと刷毛と掃除機で徹底的に落とします。

 

これが以外に大変です。

 

ときに新品製作当時の木片が出てくることもしばしば。

 

 

 

外装を軽く磨き上げ。

 

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 ちなみにこのピアノは海外製のサイレントユニットが取り付けてありました。

 

壊れていたらしく、作業前のチェックでたしかに幾つかならない音がありました、が……!

 

 

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一通り清掃を終え、整調と調律でございます。

ハンマーのパンクもきれいに直りました!

 

それと、ピアノサイレントですが清掃と再調整でなんと復活!

やったぜ!

 

ヘッドフォンはさすがに中古というわけにいかないので、ご用意くださいね!

 

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連休前に間に合わすつもりでしたが、お待たせしてすみません。
出荷前に、お届け時に納品調律いたしますので何卒ご了承ください。

 

お喜びいただければいいのだけれど。

 


 

ピアノ移動のあいまに一日再生調律 ①  カワイ・KU1  葛飾区H様

このたびご依頼いただきましたお客様。

 

お知り合い宅より、ご自宅へピアノを移動されることとなり、

せっかくなので家にピアノが届いた後に調律を… 

もともとそういうご依頼でございました。

 

いつお伺いいたしましょうか? と調律をお伺いする日取りをお話ししているうち、

「やはり家に入れる前に整備していただこうかな…そんなことやってもらえますか?」

と仰いました。

 

なにをおっしゃいますか! 

それこそ得意中の得意です!

…なんてことで、話が一気に進みました。

 

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・お知り合い宅 → ご自宅

・お知り合い宅 → 作業場 → ご自宅

 

作業場を経由してもピアノ運送料は変わらないし、

 

直接ピアノをもって行くより、作業場で埃を徹底的に落としたらいかがですか?

 とご提案させていただき、電話だけでご説明するのも難しい、なにより私自身、まだ見ぬピアノのコンディションなどわかろうはずもない。

 

 

 

なのでまずは作業場にピアノが入ったらお越しい願いたい旨をお伝しました。

 

ピアノが作業場に届き、パネルを外すと…

 

なぜかチューニングピンにフロンとパンチングが刺さっている。

(写真㊧)

なによりフェルトハンマーのパンクがある! 

(写真㊨)

 

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 わざわざ遠くよりお越しいただき、現状のコンディションをご確認いただき、作業の方向性をご相談させていただきました。

 

よっしゃ! 

あとは張り切って直すのみ!

 

続く

 

仕事とは関係ないけれど…

珍しく、晩酌がてらワインを開けよう! ということになりました。

 

ボトル先端を封する鉛のような包み(あれ、なんていうんだろう?)をとり、

コルク栓を抜く。

 

ちょっとした力仕事です。

調律業という力点を巧みに操る能力を活かし、

無駄のない動きで軽やかにワインの栓を抜き、華麗に乾杯!

 

といくはずが… …Σ(´Д`;)  

 

螺旋をコルクに刺すまではよかったのですが、

いざ抜こうと引っ張ると、握る手の中で…「パキャッ」!

なんとT字型のコルク抜きの取っ手が割れてしまいました!

 

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 わかりづらい写真で恐縮です。

 

よく見ていただくとわかりますが、コルクにらせん状の針金が刺さっただけの状態になってしまったのです。

 

 

 

 

しばし呆然とした後、 工具鞄からペンチを取り出し、必死になってコルクを抜いた次第です。

 

とほほ……